県政一般に関する質疑

平成18年2月「定例会」議事録

「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」

 

〇矢野潔議員 自民党議連の矢野潔でございます。質問をいたします。

知事は施政方針の中で、本県の人口はこの5年間でマイナス2.5%、約2万人が減少するなど人口減少、少子高齢化が全国に先んじて進行しています。しかしながら、私は本県がこうした状況のもと、経験を積み重ねてきた優位性を生かして、島根から日本の未来を考えるという視点に立って全国のモデルとなるような新たな社会システムづくりに取り組んでいきたいと考えていますと述べておられます。

そこで、国政、県政上の重要課題でございます人口減少下の少子高齢化の問題について質問いたします。

初めに人口減少社会についてでございます。

2005年、日本の総人口が減少いたしました。いよいよ我が国も人口減少社会に入ってまいりました。人口が減少すると経済が低迷する、地方の活力が大幅に低下する、そして日本も衰退する、そういった悲観論が横行しております。そうした中、二つの本に出会いました。人口減少経済の新しい公式、松谷明彦氏、いま一つは図解人口減少社会は怖くない、藤正巌氏ほかでございます。これらは、我々地方に住む者にとって大変勇気づけられるものでございました。少し長くなりますが、本の内容を紹介いたします。

人口減少経済の新しい公式は、前書きに、日本の人口は60年代に入ると急速に高齢化し始め、高齢化率は現時点で既に主要先進国を上回り、今後二、三十年の間に日本は比類なき高齢社会となる。これからの日本の経済社会のあり方を考えるに当たっては、人口減少高齢化と、その結果としての日本経済の縮小はどうあっても避けることはできないものだという認識がまず必要だとしております。

また、図解人口減少社会は怖くないによりますと、人口減少はこれからの時代の前提条件だと、日本の人口減少はどのようにしても避けられない。人口減少は人口構造の変化に起因する。著しい高齢化の進行から2030年までは人口は急減する。だから少子化対策では人口減少は避けられない。

日本の人口減少には大きな特徴が二つある。団塊の世代と団塊ジュニアの世代が存在することで、世界的に見ても驚くスピードで人口減少が進行する。総人口よりも生産年齢人口の方がより大きく減少する。

人口減少は日本だけの問題ではない。高齢化が進行する先進国を初め、人口減少は世界的な傾向であると。2030年代後半には世界人口の減少が始まると予測されている。

社会の実情に合った少子化対策が必要だ。家族形態などが異なるため、海外の少子化対策をそのまま移植しても効果は期待できない。2030年以降の人口減少を緩やかにするためなら少子化対策は必要だと。

人口減少をやみくもに恐れる必要はない。国力衰退、経済衰退、個人所得の低下などは根拠のない通説にすぎない。人口減少は、これまでの社会の問題点を解決するチャンスだ。

そしてまた人口減少は、地方にとってチャンスになるとしております。それは、人口構造に大きな変化がない。人口の減少率は大きいが、急激な高齢化は起こらない。生産年齢人口の急激な低下が起こらない。労働生産性の急激な縮小が起こらない。投資主導の経済から消費主導の経済に移行することで企業・産業の分散の可能性が高まるからだとしております。

それでは質問に入ります。パラダイム転換という言い方があります。パラダイムというのは、アメリカの科学哲学者クーンの言葉で、科学者の研究の基礎になる規範のことです。例えば、ニュートン物理学がパラダイムであるところにアインシュタインの相対性理論が登場するとパラダイム転換が起ったということになります。人口増の社会と人口減の社会には大きな違いがございます。松谷氏は、まさにこれは経済のいわばパラダイム転換だと言っております。このことは、県の政策全般について大きな政策転換をもたらすと考えられますが、いかがでございますか。

〇政策企画局長(三宅克正)

人口問題でございますけれども、御承知のように本県の人口は今から50年前、昭和30年をピークに一時的に増加した時期がございましたけれども減少傾向にありまして、この傾向が今日まで続いております。しかも、平成5年以降は自然減というような形になっております。また一方、本県は全国一の高齢県として全国に先駆けて既に本格的な高齢化社会を迎えております。

こうした中で、昨年度新たに県の総合計画を策定をいたしました。その際、本県の将来人口について国立社会保障・人口問題研究所の推計に加えまして、本県独自の予測も行いました。その結果、今後も引き続き本県の場合、人口減少が続くことが予測をされましたので、昨年策定をいたしました総合計画はですね、将来の人口減を前提として策定をいたしました。計画では、人口減少社会にあっても本県が自立的に発展できる魅力ある地域として、人々が真に豊かで快適に暮らしていくことを目標としておりまして、産業の振興でございますとか人材の育成、これらを柱に掲げ全庁挙げてこの目標を達成するために現在取り組んでいるところでございます。

〇矢野潔議員

松谷氏によりますと、人口の減少という点では概して地方地域の方が減少率が大きいと。しかし人口の高齢化という点では、大幅に高齢化するのは大都市圏だと。そして東京圏、圏域の圏ですけれども、と島根県を比較すると2000年の東京大都市圏の高齢化率、つまり65歳以上の比率は14.4%で482万人、島根県は24.8%で18.9万人です。これが2030年には、東京圏では高齢者が480万から890万人と倍近く増加しますけれども、島根県は18万から20万人とほとんど変わらない。また生産年齢人口については、75年から98年の間に東京圏が28.5%増加し、島根県は8.8%減少しました。しかし2000年から2030年の減少率は東京圏が22.7%、島根県が22.6%、つまり総人口の減少率は島根県の方がかなり大きいけれども、生産年齢人口の減少率は変わらないと。したがって、島根県の方が人口の減少率が大きいからといって地域経済の縮小率も大きいとは言えないとしてるんです。そして東京圏とそれ以外の地方地域の所得水準、生活水準がかなり接近することを示唆しております。こうした考えについて県はどう思いますか。

〇政策企画局長(三宅克正)

御紹介ございました松谷さんの著書では、大都市圏においては現在生産年齢人口を多く抱えるために人口の高齢化が急速に進むだろうと。これが経済に与える影響は極めて大きい。それに対して既に高齢化が進んでおります地方は、相対的に高齢化が緩やかに進むんだと。したがいまして、大都市圏と地方の所得水準が接近するだろうと、先生御紹介ありましたような論旨が展開をされております。

一昨年でございましたが、この本が出版をされまして私どもも拝見をいたしましたが、大変地方にとっては勇気づけられると申しますか、元気づけられるような考え方でございましたけれども、反面、本当にこんなに楽観的なことで私ども地方がこの先ですね、やっていけるのだろうかというような一抹の違和感も覚えたところでございます。

そうした中で昨年の12月でございますけれども、経済産業省の報告書で人口減少下における地域経営についてと、こういうような報告書が発表されました。これによりますと、やはり少子化といいますか人口減少下でございますけれども、労働力というものは産業の活発な地域に吸引されると、そのことを一つの要因として東京圏のみが人口及び域内総生産が増加するのに対し、一部大都市圏を除くほとんどの都市圏では人口減少も域内総生産も減少することになる。都市圏の規模が小さいほど人口と域内生産の減少率が大きいと、このように示されております。

いろいろな予測の仕方があるわけでございますけれども、本県としましては、既に50年人口減少の中で生きておりまして、今後もそのような傾向が続くわけでございますけれども、人口減少社会にあってもですね、やはり何よりも雇用の機会を確保していくと、それが最大の重要な施策であろうと思っておりまして、新産業創出でございますとか、地域資源を最大限活用した産業振興など県内産業の育成強化と、これを第一目標にしてこれらの強化に一層努めていきたいと、このように考えております。以上でございます。

〇矢野潔議員

島根県の2000年の総人口は76万1,503人でございますが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、2030年には63万175人となります。2030年の県内の市町村の人口を見てみますと、町村では東出雲町は人口増となり斐川町以外は大幅の人口減少になります。また、8市の中では松江市、出雲市以外の市は大幅に人口減少いたします。つまり松江圏、出雲圏以外は大幅に人口減少するということでございますが、これについての県の所感はいかがでございますか。

また、2030年の生産年齢人口の比率については、概して町村部が低くなっております。そして特に生産年齢人口よりも老年人口の方が多い町村が幾つも誕生します。これはどういった状況を意味するのか、これに対する県の所感や対応についてお答えください。

〇地域振興部長(藤原義光)

国立社会保障・人口問題研究所が平成12年の国勢調査をもとに推計した数字がございまして、それと平成17年の国調の速報値を比較いたしますと、推計値の74万9,000人に対しまして今回の国勢調査約74万2,000人ということで約7,000人下回った数字になって出てまいりました。また、市町村別に見ましても3分の2の市町村でこの研究所の推計よりも下回った数字になってきております。かねてからこの人口問題研究所が行いますコーホート法の手法というのは、オールジャパンで計算いたしますときには、かなり正確な予測数値が出るけれども、地域人口を予測するときには社会増減あるいは政策によります人口の増減というものが反映されませんので、予測としては必ずしも信頼性が高いものでないじゃないかというふうに私は考えておりましたけれども、今回の数字見ましていささかショックを受けました。むしろ私が予測しておるよりもさらに現実の方が、この推計よりも現実の方がさらに深刻な状況にあるというのが数字で出たなというふうに見ております。

そういう中でありますが、先ほど政策局長の方からも申し上げましたように我々も必ずしも楽観的な見方ばかりすることによって島根の将来が展望できるわけではないというふうにとらまえておりますので、現実は現実としてとらえながら行政としては何ができるかということに腐心していく必要があろうというふうに思っております。

そういう意味では、人口規定していきます一番大きなファクターは、いかに所得の場が確保できるか、働きの場が確保できるかということだと思いますし、またそれに加えまして交通や情報あるいは医療とか教育の基盤の整備だというふうに思っております。したがいまして、定住対策と申しますのは総合対策として取り組んでいく必要がありますし、わけても産業対策が一番重要だということだと思っておりますし、また少子化の絡みで申しますと、子供を産み育てる年齢としての若年人口の人口の定住対策が必要になってくるゆえんだと、そのためのUIターン対策もやっていかなきゃいかんということだと思っております。今後そういう方向で行っていく必要があろうというふうに思っております。

もう1点の生産年齢人口と老年人口の関係でございますが、平成12年の国勢調査の時点でも、既に旧羽須美村の場合には生産年齢人口よりも老年人口の方が上回るという現象が生じておりました。今後、例えば25年のスパンで見ますと高齢化が進んでおります中山間地域の奥部の方では、御指摘のようにそういう状況かなり生ずるということは否定できない事実だろうというふうに思っております。こうしたところでの生産活動の低下とか集落機能の衰退、農林地の荒廃といった問題の顕在化については、コミュニティーの再編も含めました行政としてもできることについては行政としても取り組んでいく必要があるし、またそこの地域の住民の皆さん方も自分の集落の将来を考えていただいて、そして協働事業として取り組んでいく必要があるだろうというふうに考えております。

〇矢野潔議員

既に局長さん、部長さんの方からニュアンスも出ておりますけれども、さらに引導を渡すようで恐縮ですけれども、人口構造の上から見ていわゆる2030年までの急激な人口減少を解消するのは無理だと考えますけれども、県の基本的姿勢はいかがでございますか。

〇地域振興部長(藤原義光)

先ほども申し述べましたように、私どもが当面の総合計画で追求しておりますのも、なかなか人口の減少を食いとめるというのは困難な状況だということを前提にしながらやっております。しかしながら、先ほどの人口問題研究所の推計にありますような推計よりも、少しでも地域の人口が確保できるような取り組みをすることこそがまさしく行政が行っていく必要のある施策だろうというふうに思っております。

そうしたことから、浜田市旭町への矯正施設の誘致につきましても、県の全庁を挙げて地元と協力しながら取り組んでまいりました。また、産業の振興あるいは少子化対策を重点プロジェクトと位置づけまして施策の展開を図っているということでございます。

私どもの地域振興部といたしましては、去年の3月に知事から団塊の世代に向かってのUIターンの呼びかけも行っておりますし、また田舎ツーリズムの展開も当面のところの交流人口の拡大によります地域経済のパイを大きくしようということでございますが、そのパイを大きくすることによって少しでも地元での雇用ができたらということでありますし、またその交流を通じまして交流で入ってきた方が定住に結びつく例も一つでも二つでも多く出てくればというふうな思いも持っているところでございまして、いずれにいたしましても引き続き状況の厳しさは厳しさとして認識しながら、全庁挙げて全力で取り組んでいく必要があろうというふうに考えております。

〇矢野潔議員

いわゆる人口減少経済でございますけれども、そうした場合に県内の企業はどう対応すべきだと考えますか。県のスタンスはいかがでございますか。

〇商工労働部長(山下修)

今後の人口減少下においては、一般的には需要の縮小や質的な変化が予測されます。したがいまして、県内企業は売上高の増大よりもどちらかというと付加価値率の増大であるとか、あるいは利益率の増加などを目標とすべきであると考えております。また、こうしたことに加えてですね、効率的な経営を目指すとともに新しいニーズに対応した事業展開を図っていくべきと、このように考えております。

個別に申し上げますと、製造業や観光業といった主に地域外からの所得を獲得するいわゆる地域外市場をターゲットとした産業では、競争力のある製品等を生産していくことが必要であります。また、小売業や日常生活関連サービス業といった地域内市場産業では、少子高齢化社会などの新しいニーズに対応し、地元に密着した事業展開が必要であると考えております。

一方、県のスタンスについてでございますけれども、本県では産業構造を民需主体の構造へ転換する必要があることから、産業振興を県の最重要施策として位置づけております。このため、地域外からの所得を獲得し地域に対する経済波及効果の高い製造業あるいは観光の重点的な振興を図るとともに、地域の資源を生かした産業の振興であるとか、消費を積極的に喚起しようとする商業者への支援にも積極的に取り組んでおります。

先ほど政策企画局長の方からお話がございましたけれども、昨年12月に経済産業省が発表した報告書、人口減少下における地域経営においてもですね、同様の考え方が示されておりまして、私ども大変意を強くしたところであります。県といたしましては、今後ともこのような観点に立って産業競争力強化プロジェクトなどの諸施策によりまして、先ほど申し上げました効率化等を目指す県内企業を積極的に支援し、人口減少下にあっても持続的・自立的な地域経済の実現を図ってまいります。

〇矢野潔議員

朝日新聞にですね、フランスなぜ「子だくさん」という記事が出ておりました。それによるとフランスの合計特殊出生率というのは欧州で最高水準の1.94なんですね。その高さに驚いたわけですけれども、その高さの背景を制度や社会のあり方とかですね、婚姻慣習や新しい家族のあり方といったような二つの面から取り上げておりまして、そこでお尋ねをいたします。記事によりますと、いわゆる女性の雇用のための政策というのは19世紀にさかのぼっていると。2歳児から受け入れる無料の公立幼稚園というものは1880年にできて、男性労働力が不足した第1次大戦後に普及したと。第2次対戦後は家族手当などいわゆる家族の経済負担を軽くする数々の給付制度が整備されてるんですね。家族手当とか出産手当とか基礎手当とかですね、保育費用補助とか育児休業や就業時間減に伴う所得保障とかですね、いわゆる育児家庭に対するフランスの公的支援というのはかなり手厚いものがございます。そういうフランスの制度についての所感、そしてまた島根県のできることについてお尋ねをいたします。

〇健康福祉部長(正林督章)

フランスにおける少子化対策の充実ぶりについては、大変目をみはるものがあります。例えば子供2人目以降は、子供が20歳になるまで国から手当が支給される家族手当とか、子供が3歳になるまでの育児休業または労働時間短縮、また育児休業等の間に国から支給される育児休暇手当など、少子化問題を文字どおり国家的、国家政策として取り組む姿勢がうかがえます。

我が国においても、少子化対策を国家的課題として取り組む上で国における議論や検討の過程で必要があるならば参考とされることもあるのではないかと思っております。また本県でも、今後働き方の見直しを含めた仕事と家庭の両立支援や結婚を支援するライフプラン応援など一歩踏み込んだ少子化対策に取り組むこととしていますので、こうした取り組みを進める中で、その考え方や手法などで学ぶべき点があれば参考にしたいと思っております。

〇矢野潔議員

フランスは、イギリスも同様のようですけれども、北欧とか非常にシングルマザーが多いんですね。そういう婚姻の慣習についての所感をお尋ねいたします。

〇健康福祉部長(正林督章)

恐らく、私も朝日新聞の記事を読ませていただきましたが、婚姻の慣習というか特に婚外子のことを中心に書かれてますので、婚外子というのは法律上の婚姻関係がない父母の間に生まれた子供、これをいわゆる婚外子と呼んでますが、フランスでは調べたところ2002年の統計で44.3%とその比率は大変高くなっているようです。これは法的にも社会的にも婚外子や事実婚の存在を認めていることが大きな要因となっていると考えますが、それは婚外子を奨励した結果というよりも個人や社会の価値観の変化の中で、法整備も含め国民により選択された結果であるというふうに思われます。

翻って我が国を見てみますと、近年いわゆるできちゃった婚が増加していますが、子供ができたら結婚をしなければいけないという社会的規範に代表されるように、嫡出子や法律婚に対する意識や観念が強く、婚外子を許容するといった意識にはなっていないのではないかなというふうに考えております。

〇矢野潔議員

新規事業で少子高齢社会を支える新たなシステムづくり事業というのが始まるようでございますが、この事業のイメージについてお知らせください。

〇健康福祉部長(正林督章)

次年度から取り組むこととしています少子高齢社会を支える新たなシステムづくり事業は、今後の社会資源の配分や活用方法、住民サービスのあり方など新たな人口構成を前提とした望ましい社会の仕組みづくりを検討しようとするものです。

まだ予算も御承認いただいてない段階でちょっとイメージを具体的に個々に語るのは大変難しいんですが、例えば社会資源の活用方法としまして老人福祉施設を保育施設にも活用する仕組みづくりなど、公共施設等を地域づくりに生かす観点からさまざまな方策を検討していきたいというふうに考えてます。また、これまで各行政分野で行ってきた高齢者等による生産活動の活性化にかかわる取り組みも、今後はいかに地域づくりや事業化につなげていくのかといった観点からの議論を深めていきたいと考えております。

少子高齢化というと、ややもすると暗いイメージでとらえられがちなんですが、楽観的になるつもりはありませんけれど、できるだけポジティブにこの問題をとらえて議論を進めていきたいと思っています。

〇矢野潔議員

ぜひ全力で頑張っていただきたいと思います。我々もしっかり応援したいと思います。

これまでも全国に先駆けて高齢化が進む我が県にありまして、取り組んできた事業の成果等を踏まえて今後どのような事業展開を想定されていますか。

〇健康福祉部長(正林督章)

高齢社会問題は年来の課題であり、これまで各部においてさまざまな取り組みがなされてきたところであります。元気な高齢者に活躍の場を提供する事業としては、古くは昭和60年に始まりました農山村高齢者生産事業、いわゆる高齢者牛飼い事業というものがございます。また近年では、農業だけではなくて、より多様な分野で高齢者の経験や技術を生かしてもらえるよう雇用や就業機会の確保を図る夢ファクトリー事業があり、これまで農産加工品や石けん、あるいは家具・調度品等の製造販売グループなど160の団体を育成するなどの効果を上げてきたところであります。

これらの取り組みは、高齢者の生きがい対策や社会参画を主な目的としておりましたが、今後は高齢者を社会を支える主要な一員として評価し直し、地域づくりやさらには産業おこしに結びつくような事業の推進を図ってまいりたいと考えております。

〇矢野潔議員

人口減少社会、少子高齢社会への県の考え方や対応について個別に伺ってまいりましたが、最後に知事さんにお尋ねをいたします。

私、少子高齢社会の対策というのは、単に人口減少問題への対応としてとらえるのではなくて、人々の暮らしやすさという点に視点を置くというか力点を置いて進められるべきであると考えております。少子高齢社会への対応について、その基本的な考えをお聞かせください。

〇知事(澄田信義)

ただいま矢野議員からの質問と、また執行部側の各部長、局長の答弁聞いておりまして、私も非常に参考になりました。私もですね、この人口減少経済の新しい公式という本を早速出たときに買って読みまして非常に元気づけられました。島根県の数値をとらえて、しかもそれを東京都と比較するというですね、手法を使いながら非常に私どものような県に対するですね、非常に元気づけるといいますかね、非常に勇気づけられる内容ではなかったかと思っております。

それと先ほど話題にも出ておりました人口減少下における地域経営についてという経済産業省の見通し等々であります。これらを参考にしながらですね、私ども対処していかなきゃいかんなと思っております。

全国に先駆けて高齢化が進んでおります本県では、これまで高齢者の知識とか、あるいは経験、技能などを生かして高齢者がいつまでも主役であり続ける社会の実現、言うなれば生涯現役といった考え方でさまざまな高齢者対策に取り組んでまいりました。今後の高齢者像のあり方としてですね、おしゃれでりんとしたという目標も掲げましてですね、いろいろ取り組んできたところであります。

本県は、こうした取り組みを通じて、それこそいまだだれもが経験したことのない社会にどのように立ち向かっていくのか、また課題があればそれをどういうぐあいに克服していくのかなどさまざまに学び、また数多くの経験も積み重ねてまいりました。今や我が国は人口減少社会へと転換し、まさに少子高齢社会という新しいステージを迎えるわけであります。私は、この新たなステージというのを前向きにとらえ、県民だれもが心豊かで明るく暮らせるような社会とするために本県から真っ先にチャレンジするんだという気概を持って臨む決意であります。

新年度から少子高齢社会を支える新たなシステムづくり事業に取り組むこととしましたけれども、本県がこれまで経験を積み重ねてきた優位性というものをできるだけ生かして、島根から未来を開くんだという視点に立って今後の社会資源の活用方法や住民サービスのあり方などについて検討しまして、全国のモデルとなるような新たな社会システムづくりをここ島根から発信したいと考えております。

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この記事の著者

矢野 きよし

矢野 きよし

「田舎の良さを活かして光り輝く地域をつくる」を掲げて島根で活動を行っています。様々な活動をフェースブックで配信していきますので是非お越し頂き「いいね」をお願い致します。

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プロフィール


略 歴
・昭和22年3月15日生まれ
・早稲田大学第一文学部卒業
 第一次ナイル河全域踏査隊に参加
・斐川町議会議員(2期)
・島根県議会議員(4期)
 常任委員長.監査委員.特別委員長

現 在
 荘原福祉会副理事長
 島根県カローリング協会長

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