山内海士町長に頂いた名刺には「ないものはない」と印刷してあった。
ないものはない。いくら言ってみてもないものはないんだという凄まじい開き直りに聞こえるし、必要なものは何でも有るという自信にも聞こえる。両方の意味で面白い。
平成14年に山内さんが海士町の町長になってから、町は大きく変貌した。
まず町職員の意識改革が必要だということで、役場は「住民サービス総合株式会社」だと説いた。そして自らの報酬をカットするなど徹底した行財政改革を断行した。
さらに観光と定住対策を担う「交流促進課」、第一次産業の振興を図る「地産地(商)課」、新たな産業の創出を考える「産業創出課」の三課を設置。港のターミナルに置いた。
そして島まるごとブランド化を遂行した。
岩ガキの養殖、隠岐牛のブランド化、Iターンの若者の定住、島前高校の魅力アップなど次々にヒットを飛ばしている。
この離島からの挑戦のエネルギーには只々驚くばかりだ。
そしてこの取り組みは上杉鷹山を連想させる。
「伝国の辞」(小説上杉鷹山 童門冬二)に表された藩主の心得のもと、財政の再建、産業の開発、精神の改革の三大改革を断行した鷹山を現代に見る思いだ。
海士町に学べ。こんなに素晴らし取り組みをしている町村が島根県にあるということが何よりも誇らしい。